朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】


「……僕たちに、出来ることはある?」


「ちょ、お父さ――


「生満子。僕は、これ以上は反対出来ない。遙音くんが、自分でここまで考えて決めてるんだ」


「え……」


「―――」
 

憲篤おじさんの言葉に驚かないのは流夜くんだけだった。
 

生満子さんは押し黙ってから、長く息を吐いた。


「……あたしも、そうね。オトがその道に進まなかったことを後悔するなら、反対はしたくない。そう思うわ」


「おばさん――」


「だから、ね。約束してちょうだい。遙音」


「………なにを、ですか?」
 

先輩は強張った声で尋ねた。


「死なないって。携わったその……仕事? でいいのかしら? その関係で、笑満を残して死んだりしないって。人の死に関わって、誰かの助けになりたいと思うなら、絶対絶対、自分の命も護りなさい。……殉死を、あたしは笑満に受け容れないわ」
 

生満子さんの声は険しい。


先輩は唇を噛んで、ゆっくり肯いた。「はい」と。

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