朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
「お二人もご存じの人なんですよ。遙音の行く先を教えられないと伝えた、あの人です」
「え……」
生満子さんはそれきり言葉を失った。
「見た目怖いけど、悪い人じゃないですから。遙音のことを見守っていってくださるなら、逢う機会もあるかと思いますよ」
降渡さんに柔和な笑顔と声で言われて、生満子さんは「そうですか」と瞼を伏せた。
「あの、神宮先生」
憲篤おじさんが少し強張った声で問うた。
「華取さんをご存知なら、咲桜ちゃんのことも知ってるんですか? そのことは、笑満も?」
「はい。華取在義さんの御息女ということで、顔見知りです。勿論自分の仕事のことは学校では伏せていますので、教師と生徒の範囲で応対していますが。咲桜さんの意向で、笑満さんも私の仕事は知っています。日義くんも知ってますよ」
「そうなんですか……」
「今回のこと、相当心配だったようです」
「……ですよね……。正直、遙音くんの進路に反対してしまったあとも、ああ言ってよかったのかと悩みました」