朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
「あたしからも、お願いします。遙音くんとお付き合いするの、ちゃんとお母さんとお父さんに了承していてもらいたいです」
笑満が先輩の隣に立って、頭を下げていた。笑満が飛び出すのを止める者は誰もいなかった。
「いいのー? 咲桜。笑満行っちゃったけど」
「いいんじゃない? 笑満の彼氏は遙音先輩なわけだし」
悔しい気持ちはもうない。二人の永遠(なが)を願うだけだ。
「何言ってるんだ」
憲篤おじさんはため息を吐いた。
「僕らは交際には一つも反対してないよ」
二人は同時に顔をあげた。
その瞳に、どんな生満子さんと憲篤おじさんが映ったんだろう。
「仲良くやりなさい」
「喧嘩しても仲直りすれば、あたしたちから言うことないわ」
笑満と先輩は顔を見合わせた。認めて……もらえた?