朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】



昨日から流夜くんのところへいること、夜々さんへの謀(たばか)りを案じてくれたのは笑満だったらしい。礼を言わねば。
 

補講の準備をしても余裕のある時間に、流夜くんは華取の家に送り届けてくれた。


これじゃあ夜々さんにはモロバレだと思ったけど、在義父さんと違って私、夜々さんには強かった。
 

お礼を言って一度わかれた。


学校でも逢うし、夕方にも逢えるみたいだ。


家に在義父さんはいなかった。冷蔵庫の中に作って置いたご飯もそのままだ。


泊まり込みかな。


いつものことなので、書き置きを新しくしてそのままご飯と一緒に置いておく。


着替えを取りに昼間に帰ってくることもあるから。
 

部屋に戻って、扉を閉めた途端。


「……………………。~~~~~~~~」
 

きゅう~と空気が抜けるように、ずるずると座り込んだ。
 

うわーうわーうわ―――っ! なんか……すごいことがたくさんあったような気がするー!
 

ずっとあった習慣のように、左手を――薬指を、抱きしめる。約束。あかし。結婚の、約束をした。


「………―――」
 

ぎゅっと、目を瞑った。

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