朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
「初めまして。春芽吹雪といいます。僕の責任を持ってこちらへ呼びましたので、咎めなら僕が」
優雅に胸に手を当てる吹雪さん。
「もしかして、神宮先生の恋人さんとかですか?」
あ。
まだ奥の部屋にいた私には、背中しか見えないはずの吹雪さんなのに、額が青筋だったのがわかった。
「男です、それ」
流夜くんは行儀悪くも吹雪さんを指さした。
笑満のご両親はその指の向いた先を追う。
「………」
「………」
「女性ではありません。吹雪は男です」