朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
「ん? 別に、朝間先生は華取の家の隣で、咲桜の母親みたいな人で、咲桜の父である在義さんの幼馴染ってだけだぞ?」
「…………そうなのか?」
俺の動揺が完璧に見抜かれている。
むしろそっちの観察眼の方が怖い。
「そうですよ。私がすきなのは咲桜ちゃんのお父さんの在義兄さんだけです」
可愛らしく言われたが、それもなかなか爆弾な気がする。
咲桜の父ってことはつまり、妻子がいる人なんじゃ……。
「咲桜の母親は亡くなっていて、咲桜も慕っているから……俺も邪険には出来ない。さっさと在義さんと結婚してくれませんか」
「そこまで踏み込みますか。せめて靴を脱いで揃えてから入ってくださいよ」
「そんな手間かけてられますか。貴女に」
「………」
ああ……なんとなくだけど理解が追いついて来た。