朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
「……だったら、なんです? 辞めろって言うことではないようですが」
「わかっていらっしゃるんでしょう? わたしの言いたいこととか、なんて」
「知りませんよ。俺は弟じゃないですから」
弟? 流夜の弟……なんだかすごく冷酷そうな気がした。
「じゃあ、弥栄先生もいるのではっきり言っておきますね? 咲桜ちゃんをあなたの側に巻き込まないでください。あなた方の側に、連れて行くんじゃありません。在義兄さんの方針は関係ありません。わたしの意思で、そうお願いします」
「……朝間先生の方針はわかりました。でもそれ、言い方脅しですから」
「そう聞こえました?」
「それ以外聞こえませんでした。それに、」
流夜は冷えた眼差しで振り返った。
「俺もそのつもりです」
そのまま静かに扉を閉めて出て行ってしまった。
「……『咲桜ちゃんが可愛い』以外で、初めて意見が合いました」