朧咲夜5-愛してる。だから、さようなら。-【完】
「ああ。悪いな」
在義の顔がはがされる。その下にいたのは降渡だった。
「初めまして。流夜の幼馴染で、在義さんと龍生さんの弟子の雲居といいます。本業探偵をしています」
『………』
咲桜と箏子さん、口を半開きにして言葉をなくした。
変装を見たのは初めてだったようだな。
「あ――でも、声、在義父さんと同じでした。変声機じゃないはず、です……」
耳には自信のある咲桜が言う。
「うん。声は在義さん本人」
そう、俺は肯いた。
……どういう意味? 咲桜は眉根を寄せるが、箏子さんはそれ以前の段階で停止してしまっているようだ。
ゆっくりと、玄関扉が開いた。
「私が喋っていたってことですよ。嵌められましたねえ、箏子先生」
「………―――なっ、在義!」