あなたに、依存症。
雨の強い午後だった

学食の肉うどんを食べたあとわたしは赤い傘を風に揺らしながら歩いてた


「りりかちゃーん」

それは油絵科の新歓のときに友達になったえみりちゃんだった


えみりちゃんは明るくて美少女だったけど、たまに暗く沈むときがあり、感情の波が激しい子だ


長い黒髪をなびかせて走ってわたしに近づいたら、


「え、なんで」

とびっくりした顔

「え、なにが?」

とわたしもびっくりした顔

「手首」


えみりちゃんはわたしがうっかり外していたサポーターのない左手のいくつもの傷を見つけたのだ


「やってんの?リスカ」

「うん」


えみりちゃんは精神科に行っているので、見つかったなら仕方ないので打ち明けた


「なんか、やなことあんの?」

「うん」


わたしは涙ぐみ、荒っぽい風や雨が傘をたたくのが痛くてたまらなかった


「病院いこ」


えみりちゃんははっきり言った
< 21 / 84 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop