【短】7時20分のあいつ
『降りられる方を優先にー....』
電車が目の前で止まり、駅員さんが大きな声でアナウンスする。
何人かが下りたのを確認して、俺は、電車の中に一歩足を踏み入れた。
キョロキョロと周りを軽く見渡して、あいつを探す。
「......いた、」
俺は、席の真ん中に座っている彼女の近くに立つ。
真っ黒い綺麗なストレートの髪の毛。
薄くぷっくらとした美味しそうな唇。
二重でパッチリとした目。
そして、化粧っ気のない白い肌。
パーツはモデルみたいに整っているのに、どこか可愛らしさがある彼女。
俺は、彼女を見るためにいつもこの電車に乗る。