****秘密のお姫様****
刻に襲われたあの日。

お兄ちゃんにキスされた。

好きだ、と言われたあの日。

ドキドキした私の心は、相手は"お兄ちゃん"で勝手に自己完結した。

だって、兄妹だったんだもん。

兄妹だったーーー。


今日までは、兄妹だった。


「お兄ちゃんと二人にして……」


心配そうなみんなの中に、爽くんもいた。


「大丈夫、大丈夫だから少しだけ」


少しだけ、お兄ちゃんに向き合いたい。

私達は、まだ兄妹だ。

「お兄ちゃん………
毎日、一緒に寝て、一緒にご飯を食べる。

これが、私達の普通だったね。

もう、あの頃には戻れない?」

私達には、普通だった。

「一緒に寝るとかもうダメだな。

一緒に寝てると、変な気持ちになる。

咲に触れたいって」


触れたい………?

「うん、いいよ。
腕枕とかでしょ?」

それならいつもして………

「爽と咲がしてる様なことが、したくなるんだ。

今だって、必死に保ってる!!」

私と、爽くん??

それってーーー?

まさか。

気づいたら赤くなる顔。

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