****秘密のお姫様****
冬が歩いてきて俺の目の前まで来て、頭を撫でられる。


冬の訳分からない行動に、周りもあんぐり、とした表情だった。

冬………?


「無理すんな、辛いなら辛いって言えばいい。

悲しいなら悲しいって言えばいい。

大切な人傷つけんな、痛いだけだろ?」


そう言い俺の頭を撫でた。



「俺は犬じゃねーし。


冬、ありがとう」


俺は、泣きたくなった。

俺は咲を見た。


「咲、怖がらしてごめん。


幸せになれよ」


大切な人に、サヨナラした日。

「ごめんなさい、お兄ちゃん」


君と、サヨナラした。


繋がって居たのは兄だったから、その繋がりが今、終わるんだ。


「私には、お兄ちゃんは、ずっとお兄ちゃんだよ」


救われたのは、君の存在だった。

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