秘書課恋愛白書
長身で細身、高級そうなダークスーツに身を包みズレた眼鏡を直す男の人が立っていた。
「おお、タケル君!君も久しぶりじゃないか。どう?一杯飲んでいかない?」
「お久しぶりですマスター。またご迷惑をおかけしたようで。お言葉は嬉しいのですが今日はこの後葵のところでパーティーなんですよ」
すみません、と眉尻を下げて微笑む優しそうな人。
「そりゃ残念。アオイ君にもよろしく伝えてくれ。ほらレイちゃん、お迎えが来たよ。」
この人もアオイさんって人も彼の友達か何か?
マスターとも親しげに話す男の人を横目でチラチラ見てるとバチッと目が合った。
そして私を見るなり目をまんまるにして驚いたような表情に一変した。
「何か顔についてますか…」
「びっくりした…。いえ、すみません。知り合いによく似ていたもので」
「どこにでもいる顔ですので」
恐る恐る話しかけた私に、すみませんと言って会釈する男の人。
「こいつ嫌な絡み方しませんでした?」
「いえ、大丈夫です」
「よかった。じゃあマスター僕たちはこれで」