秘書課恋愛白書
もしかして、社長じゃなきゃ外せないとかいう?
待てよ、あの人ならやりかねない。
そして、こんな控えめな見た目の私の胸元でキラキラと光るこれはなんという種類の石なのだろうか。
しばらく鏡の前でネックレスをじっと見つめていたが、
……それよりも、ネックレスの下にある首筋から胸元にかけての赤い斑点が気になって仕方がない。
社長につけられた。
キスマークというやつなんだろうか。
経験したことがなかったけど、怪我したみたいにところどころ鬱血しているのがある意味気持ち悪い。
月曜日の出社までに消えるといいんだけどなぁ…
このネックレスも変なイタズラかもしれないし、月曜日直接本人に聞くしか手はない。
「はぁぁぁ〜…もーなんなのよ…」
鏡の中に映る自分の姿に盛大に溜息を漏らし、その場にしゃがみ込んだ。
そして京都出張へ向けての準備を渋々始めるのだった。