秘書課恋愛白書
社長のウワサ
月曜日。
気持ちが休まることもなく日曜日があっという間に過ぎ去った。
寝不足かつ、いつもより重い足取りで出社するなりなにやら視線が気になる。
主にそれは宮野ホールディングスで働く女性たちなのだが。
思い当たる節がない。
薄く残った首筋の跡もコンシーラーを駆使して必死に隠したし、パウダーで馴染ませ化粧跡がわからないようにしたからいつも通り。
ただ、一つ違うことと言えば私の首元。
社長に付けられた太陽の光で赤く煌めく一粒のネックレスをしていることだ。
なんか嫌な視線だなぁ…
見られてることを感じつつも平然を装って、会社のエントランスを過ぎていく。
一般の社員たちが待っているエレベーターホールから少し行った先の役員フロアへと直通で行けるエレベーターに乗り込んだ。
エレベーターに乗り込んでやっと一息つけた。
社長フロアへのボタンを押してしまった扉にゴンッと軽く額を打ち付ける。
あんな好奇な目で見られるのには慣れていない。