秘書課恋愛白書
「…おはようございます」
扉を閉めて深々と頭を下げれば足元に高級ブランドの革靴が視界に入った。
「…なんで僕があげたスーツ着てないんだよ」
「あ、あれは明日…着ます」
「ふーん」
顔を上げればちょっと不機嫌そうに顔を歪めた社長が私を見下ろしていて、ぶすっとした口調で物申す。
綺麗な顔が近くにあって不覚にも一瞬ドキッとしてしまった。
それに…スーツのことも案の定聞かれると思った。
「うん、コッチは…ちゃんとしてるね」
私の首に触れるとサラッとネックレスを指に絡める。
それを見つけた瞬間、フッと満足げな表情に変わってまたもドキッとした。
何ドキドキしてるのよ、私!
「……これはなんでしょうか」
「頭の良いキミでもわからないことってあるんだね」
「いや、ネックレスなのはわかりますけど、なんのために私がこれをしてるんでしょうか!」
「なんのためって……」