秘書課恋愛白書


「首輪」


さも当たり前のような顔して言い放った言葉が、だった三文字だが非常に強烈な一言。


首輪…だと?

社長の物言いに口元が引き攣った。


「く、くび、わ………」

「僕のモノだからさ。ほら、他の奴が変な気でも起こしたら大変でしょ?」

「私はモノでもなければ首輪を付けるようなペットでもありません!!しかも取れない!!」



社長を睨みつけてぎゃんぎゃん喚く私はまさに犬のようで。


「外したら殺すよ」

「なんて横暴な…!」


そんな綺麗な顔して殺す、なんて物騒な言葉平気で口にするもんだからそれ以上言い返せなくなってしまった。


「良いモノあたってよかったね」

「私、別に欲しいなんて言っておりません……」

「さーて、めんどくさいけど仕事でもするかなぁ」


あ、またシカトした。

まるでオネダリして買ってもらったみたいな言い方をする社長。

んーっと伸びをして自分のデスクへと向かう後ろ姿を、もやもやとした気持ちで見つめる。
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