秘書課恋愛白書
「新しい社長の秘書の方ですよね?」
「そうですが…」
「やっぱり!どんな方かお話してみたかったんですよねー」
わざとらしかったですよね、と笑うその人は笑った顔も可愛らしい。
申し遅れました、と社員証を私に見せながら自己紹介する彼女は飯島さんという。
話を聞く限り、営業1課で働くバリバリのセールスレディらしい。
私と話してみたかった一心で、人目も憚らず声をかけてきただけあって、さすが営業をしているだけある。
歳は私よりも少し上ぐらいだろうか。
「先週から社長の秘書をしてます。中原と申します」
よろしくー、と差し出された右手で握手を交わす。
ぐいぐいくるタイプの飯島さんはとても感じがよくて話しやすい。
ちょっとマリカと似たような雰囲気があって私たちはすぐに打ち解けた。
「中原さんの噂で社内は持ちきりだよ!だってあの社長の秘書を続けてついに2週間目に入ったんだから」
「そんなことで噂になるんですか?!」
「だってほら、うちの社長って…性格に難ありじゃない?みんな続かないんだよねー」