秘書課恋愛白書

思い出すだけで吐き気に襲われそう。

初日、社長と知らない女性社員の情事を目の当たりにしたあれ。

浮気現場を目撃したあの頃と一緒のような錯覚に陥ったあの日。


「何?!秘書しか知らない情報があるの?」


興味津々で身を乗り出して聞いてくる。

うーん、社長のプライバシーに関わるようなことだしどこまで言っていいのやら。


「…もしかして、社長室に女連れ込んでるってやつ?」


ヒソッと私の耳元で耳打ちする。

え、知ってるの?!

驚いた顔して見せれば、ああ…やっぱりね、と苦笑いを浮かべる。

社員にまでバレてるとか節操がないにも程がある。


「飯島さんはご存知だったんですね」

「やー…ほら、やっぱりそこそこ年数が経つと色々と話がどこからともなく回り回ってくるもんで。隣の課の女の子が社長とシたとか自慢気に話してたりとかあるのよ」

「な、なんとな…」


社長…スキがありすぎです。

社員に触れ回れてますよ…

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