秘書課恋愛白書

「へぇー…あの社長が好きになる人、か」



どんな人なんだろうね?と二人で顔を見合わせた。


そういえば、初めて出会ったあの日も社長は荒れてて飲んだくれになってたんだっけ。

ずっと好きだった彼女が幼馴染の親友と結婚する、って。

マスターから聞いたあの話、報われない恋を一途に想い続けていた社長のこと考えると胸がチクっとして針が刺さったような気持ちになった。


「フラれたのかわからないけど、そうなるのもどうかと思うけどね?」

「全くもって同感です」


本当に、それ。

荒れていい理由にはならないと思う。

それからも、飯島さんからたくさん社内事情を教えてもらって、また一つ社員としてレベルアップした気がした。

まだまだこ私はこの会社は知らないことばかり。

社長のことも…

なんとなく、自分がちっぽけな存在だと気付かされた気がした。


時計を見るともうすぐ昼休みが終わる時間へと差し掛かっていた。
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