秘書課恋愛白書

「あー楽しかった!久しぶりにこんなにがっつり人と話したかも。中原さんまた今度一緒にランチしよーね」

「はい、ぜひお願いします」


これ私の連絡先ね、と名刺の裏にチャットのIDを書き込んで差し出す。

お礼を言って受け取ると慌ただしく席を立ってトレーを持ち去っていく飯島さんの姿を見送って私も食堂を後にする。




「戻りましたー…あれ、いない」


ノックをして扉を開けると、広い社長室は静寂に包まれていた。

主のいない社長室で私は自分のデスクに向かい午前中で片付けきれなかった書類の整理をすべく腰を下ろした。


すると、壁の方からゴンゴンと音がして気になって立ちあがる。


社長室の隣の部屋って…なんだっけ?


仕事を始めて2週目に差し掛かるが社長専用フロアにあるものといえばこの社長室と給湯室と応接室しか見たことがない。

そういえば、奥の方に仮眠室があるって三谷室長が教えてくれたっけ。

忙しい合間を縫って仮眠を取ってるって言ってたような。

不審に思って社長室を出て少し歩いた先にある扉の前へとやってきた。
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