秘書課恋愛白書
なんでこうもタイミング悪く見てしまうのだ。
どうしてこう、同じことをなん度も繰り返してしまうのだろう。
まるで呪いをかけたようにあの頃のフラッシュバックを繰り返して吐き気に襲われる。
社長は違う。
社長は私の恋人でもなんでもない人よ。
喉元まで異物が出かかったところで金縛りにあっていたかのような体が解放されて私は静かにその場を後にする。
慌てて駆け込んだお手洗いの個室。
駆け込んで顔を便器に近づけ体内に残っていたものを吐き出す。
苦しい、苦しい…っ
ガツンガツンと音がしたのはこのベッドが壁に当たる音だったのね…
胃のブツを吐き出して冷静さを取り戻した頭でそう思い返す。
人の情事を見ることほど苦しいものはない。
喧嘩別れした元恋人との原因がまさにそれだった。
お互い就職活動をして、先に決まって就職活動から解放されて自由になった彼を繋ぎ止めることは出来なくて…