秘書課恋愛白書
社長と出張
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「……凄く立派なホテルですね。写真で見るよりも一段と豪華です」
「まあ今回のところは京都と言えどリゾート感重視でいったからそんな感じ」
「リゾート感…」
目の前にそびえ立つ豪華で煌びやかなホテルを下から見上げる。
やって参りました、京都出張。
空港でグループ専用の黒塗りの車が迎えに来て、そこから数時間乗った先に現れた立派なホテルに圧倒される。
ホテルの玄関口では沢山の従業員の方が社長にお辞儀をしてそこを通るのを今か今かと待っている。
見兼ねた私は行きましょう、と声をかけて社長を中へと誘導する。
「せっかちだなぁ。ゆっくり行けばいいじゃん」
「一泊二日しかないんです。そんなゆっくりしてる時間、社長にはございませんよ」
「はぁー…わかってるよ」
一泊二日で貴方のやることは沢山あるんです、と急ぎ足の私の後ろでダラダラと外観を眺めながら中へと足を踏み入れる。
どういうところを見てるんだろうと、時々後ろを振り返って社長の動向を探る。