秘書課恋愛白書

女性だけでもカップルでも楽しめそう!

興奮したように話す私に口元に弧を描いてフッと笑う社長。


「……わかってます。これは仕事の一環です」


ちょっとはしゃぎ過ぎたかな。

口元を手で覆ってわざとらしい咳払いをしてみせた。


「そういう意味じゃない。綾女が喜んでくれるなんて思ってなかったからさ」

「わっ…」


大きな手がふんわりと私の頭の上に乗って、優しく撫でる。

なっ……!

一瞬にして顔を赤らめる私とそんな私の反応を楽しむタチの悪い社長。


「お二人は仲がよろしいのですね。社長にそういった方がいらしたとは」

「時枝、うるさい。次行くよ」


微笑む時枝さんと目が合ってさらに熱くなる顔はどうにもできなくて、隠すように俯いて歩く。

それからも数々の施設を見学して、気づけば数時間が経っていた。

興味があるものに夢中になると時間が経つのは本当に早いものだ。


最後のお部屋です、と時枝さんに案内されたのは最上階のフロアに数室しかない限定の部屋だと言う。
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