秘書課恋愛白書
「それならそうとおっしゃってくださいよ、社長。変な勘ぐりをしてしまったではないですか」
「やだなぁ時枝」
ははは、と私そっちのけで二人は話を弾ませて何事も無かったかのようにその話題は終わった。
待って、時枝さん一緒の部屋って何?!
あたふたする私を抱きしめる腕が強くなる。
「では社長。〇〇役員とのお約束の時間まであと1時間ほどございます。呼びに参りますのでお寛ぎになってお待ちください」
「ありがとう」
深く一礼して時枝さんは部屋から去って行ってしまった。
そしてやっとの思いでパッと解放される私の体。
「社長……?一緒の部屋ってどういうことですか」
「そのままの意味だけど。別に何も問題ないでしょ、部屋だってこんなに広いし、さ」
そういう問題じゃないんだよ。
なんで社長と秘書が同じ部屋で一泊二日過ごさなきゃいけないんだ。
扉の方へとツカツカ歩いていく私の後を社長がつけてくる。
「時枝さんに言って、もう一部屋用意してもらいます」
「ダーメ」
「こんなことあってはならなっ……!!」