秘書課恋愛白書

ギュッと再び体を抱きしめられて硬直。

ふっ、と耳に社長の吐息がかかり体が震え始める。


「綾女、これも仕事の一環だよ?」

「出張で社長と秘書が同じ部屋なんて…!聞いたことないですよ?!」

「じゃあこれが初めての一例だね」


ちゅ、と私の耳たぶにキスをしてぺろりと舐められた。

ゾワッと変な感覚に襲われて目を見開く。


「やめてください!!」

「まだ1時間もあるんだって。僕の相手してよ」

「ひっ…んん?!」


後ろから腰に腕を回され抱きしめられたまま社長の片手は上へと移動して私の唇を指でなぞる。

その手が顎を撫で、首筋へと伝うたびにくすぐったさで体を捩った。

綾女ここが好きだよね、と何度も首筋にキスを落とされる。

この力の抜けていくような感覚はいつまでたっても受け入れられない。

社長の手が動くたびに全身が溶けてしまいそうで。


「今日はちゃんと着てきたし、コッチもつけてるね」

「っ………」



そう、今日は社長に仕立ててもらったスーツを下ろした日。

首にもしっかりとネックレスをぶら下げている。

改めてそう言われると恥ずかしい。
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