秘書課恋愛白書
するりと腰のあたりを撫でられ驚きのあまりその首に抱きついてしまった。
「急にそうくるか…大胆だなぁ」
「ち、ちが………!これ以上は……っ」
本当にダメなんです。
これ以上は。どうかお願いだから。
こんなことされ続けると嫌だと思ってても堕ちるところまで落ちてしまいそうで。
震える腕で精一杯社長の胸を押し返す。
「何の心配もしなくていいよ。キミはそのまま僕の胸の中で素直でいてくれればいい」
耳元で残酷なことを囁き、笑みを浮かべる姿は悪魔としか言いようがない。
怖い。
このままではまた流されてしまう…
そう思ってギュッと目を瞑ったところで扉がノックされた。
『社長、まもなくいらっしゃるのでご移動願います』
扉越しに時枝さんの声がして我に返った。