秘書課恋愛白書
コンコンと数回ノックしてドアを開け中の様子を伺うように顔を覗かせた。
「部長!中原参りました」
「おお、中原!さ、入って。待ってたんだよ」
ぽっちゃり気味で人のよさそうな部長がニッコリと微笑む。
「今回もまた伝説を作ってくれたみたいだねえ。上層部も君の働きには関心していたよ」
「恐れ入ります。おかげさまで趣味の貯金も潤うばかりです」
この会社の良いところはインセンティブを採用しているところだ。
自分のやる気によってお給料も変わってくるため頑張れば頑張るほど自分に返ってくる。
私はそれにやり甲斐を感じていた。
何せ雇い主の顧客満足度によって会社からもらえるお給料のほかに臨時ボーナスという形で雇い主から報酬を受け取ることができるからだ。
「今回追加された”中原伝説”はお前がついた社長の企業は上場するというものだったな」
部長の言う中原伝説とは、私の実績データのことを言う。
なんでも私の就いた上司もとい社長の仕事は今のところ一部上場企業に進出したり、契約困難な相手とも商談が成立したり、事業が波に乗ったり…
なんて仕事が成功するというジンクスが巷では噂になってるとか。