秘書課恋愛白書
でも観光でもしてくればって言ってくれたのは社長じゃないか。
言い返したいところをぐっと我慢してベッドの上で正座した。
「どこで何してたの?さっきのアイツと言えないことでもしてた?」
「そんなことは…!彼は…何も関係なくて、本当に偶然飲み屋でばったりしたと言いますか…」
「キミって子は……頭は良いくせにそういうところ本当に学習しないよね…」
前髪を掻き上げ、呆れたように盛大に溜息をついてみせる社長。
本当に偶然が重なった不可抗力なんです…
私だって会いたくなかった!
目で訴えるがそれは逆効果だったみたいで。
ベッドに上がってきた社長の瞳はギラギラしていて、囚われたみたいに目が離せなくなった。
動くたび、ギシッとスプリングが音を立てて揺れる。
息をするのも忘れてしまいそうになる。
ぐっと顎を掴まれて社長の顔が近づいた。
「悪い子にはお仕置きしなきゃね?綾女」
ニヤリと黒い笑みを浮かべる社長にサッと血の気が引いたのは言うまでもない。
やらかした、と酔いの覚め切ってない頭でもそれは理解できた。