秘書課恋愛白書
そんな私を横目で見て、社長はベッドを這い蹲り降りた。
そして何か考え事をしてこちらへと振り返り、とんでもないことを聞いてきたのだ。
「それにしても、僕とするのそんなに嫌?これでもモテる方だと思ってたんだけどなー。綾女って全然僕になびかないよね」
「えっ?!なっな……」
人の気も知らないで…当たり前でしょ!
こっちは仕事で一緒にいるんだから一応一線は引いてるつもり。
それに社訓の三箇条目を守り続けるからこそ今こうやって社長の下で働けてるんだ。
社長はきっと、それを知らない。
だから私も言わない。
けど、さすがに言いたいことも出てくるわけで。
「……社長は私のことを自分のモノとおっしゃいますが、誰にだってこういうことできますよね」
嫌味っぽく言い返せば、冷ややかな視線が突き刺さる。
「…どういう意味?」
「最初に社長室に入った時だって、昨日だって、何してたか私は知ってます」
「ふーん。見てたんだ。綾女ってそういう趣味?」
フッと鼻で笑ってソファーの背もたれに腰を掛ける。