秘書課恋愛白書

「私は…悪くない…」


ポツリと静かになった部屋で呟く。


そう、私は悪くないはず。

本当のことを言うとちょっとだけ期待してしまったんだ。


"綾女だけとしかしない"

まるでそれはある意味告白みたいにも受け取れて、自分からではなく社長が私を好いてくれての言葉なら、と変な期待を抱いてしまった。


でもあの人は、誰彼構わず利害関係が一致してればそこに恋愛感情がなくとも出来ると言った。

それに自分も含まれてる、と考えた瞬間その理想は見事にガラガラと音を立てて崩れ去って…

なんなのこの変な気持ち。

きっと、さっきの余韻で頭がおかしくなってるだけ。

考えたくないし、あるわけないのに。

…あるわけないのに、社長のことが気になって仕方のない自分のことが嫌いになりそう。


「ぐすっ…なんなのよ…もう」


ユウのこともあれば社長のことも悩まされて散々な一日だった。

気づけばまた布団を涙で濡らしている自分がいて、その夜は落ち着いて眠りにつくことは出来なかった。


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