秘書課恋愛白書
気持ちの変化
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出張から気づけばもう2週間近く経っていた。
あの出張の日。
社長はとうとう泊まるはずだった私のいた部屋には戻ってこなかった。
きっと支配人の時枝さんに言ってもう1室用意してもらったに違いない。
でも、戻って来なくてよかったと正直思った。
きっとあの後部屋に戻っていても気まずい空気だけが流れてたしどんな顔を合わせていいかわならなかったと思う。
眠れない夜を過ごして、もやもやした気持ちのまま朝を迎えた。
だが、そんな私を他所に社長は何事もなかったかのように振る舞った。
だから私も何もなかったように秘書として接した。
時枝さんが少し不思議そうにしていたけど、そんなの関係ない。
私と社長は元々こうであるべきだったんだから。
社長と私は本当にただの上司と部下みたいな関係で、あの出張までの期間の出来事が嘘のようだった。