秘書課恋愛白書

でも、確かに思い当たる節はある。

灰田さんに初めて会った時も私の顔を見るなり凄いビックリしてたっけ。

それはきっと灰田さんもその人と親しい間柄だからなのかもしれない。


「雰囲気だけだよ。中原さんの方が落ち着いてるし、大人っぽい」

「ははっ…そうなんですね」


室長もその人とけっこう仲が良いんだろう。

その人のことについて話す室長がとても楽しそうで、聞いてるこっちも楽しくなってくる。



「でも、社長のご友人と結婚されるって聞きました」

「ああそんなことまで知ってるんだ。意外と社長の事情に詳しいね。そうなんだよ、中原さんが会ってないうちの1人と結婚するんだ」

「皆さんから愛されてる方なんですね…」


こんなにいろんな人から愛される魅力あるその人。

あの社長が好きになるその人は一体どんな人なんだろう?


「社長のこと、気になる?」

「ち、違います!ちょっとした興味本位です…」


胸の前で大きく手を振って否定したが、室長はにやっとして私の顔を見る。


室長の雰囲気も変わったような気がする。

前よりも親しくなれたということだろうか。
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