秘書課恋愛白書

「全部初めてなんだよ。社長が社長になる前から知ってるけど、自分から秘書を選んだりこんなに長続きしたり、それに中原さんといる社長は楽しそうで前よりも落ち着いた」


まさか周りからはそんな風に見えていたなんて。

でも…出張の日のことを思い出すと胸が苦しい。


「室長……私はこの仕事に誇りを持ってます。この仕事が大好きです」

「知ってるよ。だから…ウチの社訓が中原さんを縛り付けてる感じも薄々気づいてた」

「……!」

「ちょっとだけ、社長のこと気になってない?」


他人から、仕事関係で身近な人にそんな風に言われるなんて思ってもみなかった。

驚きのあまり椅子から立ち上がる私に室長は短く溜息ついた。


「俺個人の意見としては社訓に縛られる必要は無いと思う。だって中原さんは仕事とプライベートきっちり分けれるタイプだと思うし」

「……どうでしょうか」


でも社訓があるからこそ考えないように自分を制御できるわけだしやっぱり意識は必要だと思う。
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