秘書課恋愛白書
「でもさ、それって…綾女は社長のこと少し気になるからそう感じるんだよね?」
「それが…わからない」
あの出張を終えてから自問自答を繰り返す日々。
胸が苦しくなるのは…
「わからなくないよ!だってそれ、綾女はもう社長のこと好きになりかけてるってことだもん」
「好き…好き?!」
なんだ、簡単じゃん!と顔が明るくなったマリカ。
しかも私が社長を好きだと言う。
人を好きだと感じて恋愛をした経験が乏しいせいか、これが好きと言う感情なのかわからない。
「待って、好きってユウの時みたいなことを言うよね?」
「綾女、確かにユウのことは好きだったかもしれないけどユウと社長は違う人間なんだから好きの形だって変わると思うよ」
好きの形…
ユウの時とはまた違ったこの感情は、社長を好きだと思うものなのか。
「私が…社長を、好き…?」
そんなことを考え始めたら止まらない。
黙り込む私にマリカはにっこりと笑ってみせた。