秘書課恋愛白書

「たしかに前ほど考えなくなった」

「それもこれも、中原さんのおかげですね」


先程から口を開けば"中原さん"

やたらと綾女の話をしたがるたけるにイラッとする。

もしかして綾女に気でもあるわけ?


「……さっきから綾女の名前出すけど、なんなの?たけるうざい」


ジロリと横目で睨めばまたクスクスと笑う。

こいつのこういうところが昔から苦手だし、何考えてるか読めないのがモヤモヤする。


「やだなぁ、敵意剥き出しにしちゃって。安心してください。僕は中原さんのこと何とも思ってませんよ」


おー怖い怖い、と言ってシャンパングラスに口をつける。

その言い方にもイラッとして、持っていたシャンパンを一気飲みする。


ちょうど彼女の話が終わり、ホテルの宴会場が拍手で包まれた。

軽く拍手をして次のシャンパンをウエイターから受け取ると、何やら周りをキョロキョロと見回すたけるが視界に入った。

< 179 / 320 >

この作品をシェア

pagetop