秘書課恋愛白書

少しだけ語尾が震えたがちゃんと言えた。

僕の言葉に彼女は一瞬驚いたような表情を見せたがそれはすぐに笑顔へと変わった。


「ふふっ嬉しい。ありがとうございます」


前の自分なら胸が締め付けられるような気持ちだったと思うが、彼女の幸せそうな顔に心から祝福できてる自分がいて安堵した。

いつからだろう。

こんな風に気持ちが穏やかになったのは。

彼女を見ても、前ほど苦しくなくなった。

あんなに辛かったはずなのに、どんなに酒に溺れても忘れられなかったのに。

こうやってちゃんと面と向かってお祝いも言え、明凛の笑顔につられて自然笑顔になれる。


参ったな…

まさかこんなに自分が単純だったと思い知らされるとは。


脳裏に浮かぶのは先日泣かせた別の彼女の存在。

僕のせいで泣いたあの日の彼女に後ろめたが残っていた。


綾女…嫌いって言ってたな…

短く溜息ついて心あらずな状態。

そんな僕をジッと見つめていた明凛に声を掛けられるまで気づかなかった。

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