秘書課恋愛白書
マスターを交えてとりあえずビールで軽く乾杯。
「そういえばレイちゃん、アヤメちゃんこないだ大丈夫だった?」
開口一番聞かれる質問もやっぱり綾女のこと。
「まぁなんとか。ウチ着いたらすぐゲロってそのまま爆睡」
「すごい、怜が人を介抱するなんて…!」
槍でも降るんじゃないか、と大袈裟なリアクションをするたける。
いや、迎えに来いって連絡したのそっちだろ。
「えっ…!レイちゃんの家に連れて帰ったの?!」
目を見開いてカウンターから身を乗り出すマスター。
言いたいことはわかるけどさ、逆にあの状態でどうしろというんだ。
「泥酔状態の綾女を家に連れて帰れるわけないでしょ」
「……手出してないよね?」
「……まぁ」
手出してなくも、ない。
僕の微妙な返事に顔面蒼白になる。
「怜も中原さんも大人なんですからそこはノーコメントでいきましょう」
たけるはマスターをまぁまぁと宥め、カウンターに項垂れるマスターの肩を優しく叩いた。