秘書課恋愛白書

マスターを交えてとりあえずビールで軽く乾杯。


「そういえばレイちゃん、アヤメちゃんこないだ大丈夫だった?」


開口一番聞かれる質問もやっぱり綾女のこと。


「まぁなんとか。ウチ着いたらすぐゲロってそのまま爆睡」

「すごい、怜が人を介抱するなんて…!」


槍でも降るんじゃないか、と大袈裟なリアクションをするたける。

いや、迎えに来いって連絡したのそっちだろ。


「えっ…!レイちゃんの家に連れて帰ったの?!」


目を見開いてカウンターから身を乗り出すマスター。

言いたいことはわかるけどさ、逆にあの状態でどうしろというんだ。


「泥酔状態の綾女を家に連れて帰れるわけないでしょ」

「……手出してないよね?」

「……まぁ」


手出してなくも、ない。

僕の微妙な返事に顔面蒼白になる。


「怜も中原さんも大人なんですからそこはノーコメントでいきましょう」


たけるはマスターをまぁまぁと宥め、カウンターに項垂れるマスターの肩を優しく叩いた。
< 185 / 320 >

この作品をシェア

pagetop