秘書課恋愛白書
そういう意味じゃない。
そういうのすっ飛ばして綾女が欲しいと思ったんだ。
あの時言った言葉は、けっこう本気で言ったつもりだった。
でも、あの状況じゃ伝わらなくても当然といえば当然で。
「なんか…色々とやり方間違った気がする」
「今の段階で気付けてよかったじゃないですか。それじゃあ僕からも一ついいことを教えてあげましょう」
にっこりと笑うたけるに僕とマスターは頭にハテナを浮かべて次の言葉を待った。
いいことって、何?
「中原さんの勤めるMキャリアについてちょっと調べたら面白いことがわかりまして…あの会社、雇い主との恋愛を全面禁止にしているようですよ」
「……は?」
「ああ!それならアヤメちゃんも前に言ってた気がする!」
厄介な決まり事があるんですねー、と他人事のたけるを睨みつけた。
そういう大事なことはもっと早く言ってよ。
「雇い主との恋愛禁止?いつの時代の話だよ」
そんなバカみたいな決まり事を作った会社が傘下にあるとは思いもしなかった。
「"異性の雇い主に一切の恋愛感情を抱いてはならない"っていう面白い社訓があるんですって」