秘書課恋愛白書

変なの…

こないだまでユウのことなんて忘れてたのに。

トラウマだって植えつけられたのに。

あんなに泣いてあんなに苦しい思いをしたのに。

それなのに、いまはこんな風にまた再会して一緒ご飯を食べているという現実。

自分の心変わりようと現金さにはつくづく驚かされる。


「で、綾女の仕事ってどんな感じ?」

「こないだも話した通り、普通に秘書をしてるけど」

「秘書って社長とか、役員?今就いてるのはどんな人?」

「んー…仕事に関してはかなりやり手。でもちょっと色々と大変かも」

「へぇー…いいな」


さすがにユウの前で社長のプライバシーを話すことは出来ないからなんとなく濁した。


「ちなみにどこの会社かぐらい教えてくれてもよくない?」

「それ言ったら社長が誰かわかっちゃうじゃない」

「だって優秀な綾女なら引く手数多だろ?気になるじゃん」


まぁ社長が誰と言ったところでプライベートな部分が露見されるわけじゃないからまだ大丈夫かな…


「…宮野、ホールディングス…」

「え、マジで?!」

「しっ!声が大きいよ!」
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