秘書課恋愛白書
「明日からもうそっちに行ってもらう。中原…生きて帰って来いよ」
「先輩…短い間でしたがお世話になりました」
「いやいや、私辞めないですから。図太く頑張りますとも」
別れの挨拶を交わす二人に慌てて突っ込む。
ついにきたか…トップクラスに就ける日が。
不安で押し潰されそうな気持ちと新しく始まる仕事への期待感に満ち溢れる私。
実はけっこう楽しみで仕方ない。
すると、部長がわざとらしい咳払いをして話を続けた。
「ちなみにだが…宮野社長は男だ。とてつもなくイケメンだと、風の噂で聞いた」
会ったことないから噂だがな、と言う部長に目を輝かせたのはゆきちゃんと後輩たち。
イケメンに食いつくあたり秘書とも言えど女の子。
「いいなー!そんな人と仕事出来るなんて毎日が目の保養だしやる気が出そうー」
「こらお前たち!うちの三箇条の社訓を忘れたわけじゃないよな?」
「えー忘れてませんけれど……」
部長の言ううちの社訓三箇条とは、この仕事をする上で最も遵守しなくてはいけない決まりごとだ。