秘書課恋愛白書
「……なんか、改めてこれ言うの恥ずい」
「…今更聞かされた私だって恥ずかしいよ」
「それからずっと綾女だけを見てきた。それくらい好きなんだよ。伝わった?」
「……ユウの気持ちは本当に嬉しい」
でも、やっぱり違うんだ。
ドキドキしたって色々考えたって、あの頃がそのまま続くわけじゃない。
別れたあの日から5年は経ち過ぎてる。
あの頃みたいに未来を想像することが出来なくなっていた。
だから私は…
「ごめん、戻れない。やっぱり5年は大人になるのに十分な時間だった」
「……そ、か。残念だ」
ハッキリとユウの目を見つめてそう言えばハの字に下がる眉毛。
そしてフッと微笑むと私の頭を優しく撫でた。
「困らせてごめん。でも言いたいことは全部言えたし、綾女の気持ちも聞けて良かったと思う。ありがとう」
「ううん…私も、ごめん」
ただそう謝ることしか出来ない。
謝るなよ、とさらにグリグリと頭を撫で回されて少しだけ目頭が熱くなった。