秘書課恋愛白書
「んっ…やめ、て」
「やだ」
社長の胸を押し返して抵抗するも何度も口づけされる。
そのたびそのキスに酔いしれてしまう自分がいて頭はもうクラクラとして正気を保っていられなかった。
思いっきり顎を掴まれて固定された顔は自分の意思で動かすことは出来ずに与えられる口づけに自然と応えてしまう。
舌を絡めとられて苦手な上顎を刺激され、どんどん深くなっていく。
だらり、と体の力が抜けていくのが自分でもわかった。
わかっている、こんなキスになんも意味がないことを。
じゃあなんで社長は私にキスをするの?
じんわりと視界が滲んできて、生理的な涙が出てきた。
「社長…やめてくださ、」
「……っ」
私の振り絞るように出した声にハッとしたような表情へと一変する社長。
そして、私の唇を親指で拭って起き上がった。
……やめて、くれたの?
「……がうんだ」
「え?」
俯いてポツリ呟いた社長の言葉が聞き取れなくて聞き返す。