秘書課恋愛白書
「違うんだ…こないだも、本気でそんな顔させたいんじゃなくて…」
「しゃ、ちょ…?」
「どうしてこう、上手くいかないんだ。綾女を傷つけたいわけじゃないのに」
「あ、の、社長……?ちゃんと話していただかないとわかりません…」
そう問いかければ、気まずそうに顔を歪めて前髪を掻き上げた。
そして私に背を向けて頭を抱え、項垂れるのだ。
一体、何が起こっているんだ。
「あーもー!わかれよ、この鈍感!!綾女が僕を嫌いだと言ったから変わろうとしたのになんでよりにもよってこないだの男といたわけ?」
そして、こちらに振り返ったと思えば急に逆ギレされてしまい私は目をパチクリさせた。
そ、そんなこと言われましても…
こっちはこっちで事情があったし、自分なりにけじめをつけに行ったんだけどこれを社長にどう説明するべきか。
いや、でもわざわざ説明する必要なんてないんじゃないか。
私のプライベートな部分まで社長にとやかく言われるのは違うよなぁ。