秘書課恋愛白書
社長という人物


次の日。

緊張の面持ちで出向先へと足を運ぶ。

ホールディングスに行くのは初めてで、本当に自分が受けて務まるのかと自問自答を繰り返すばかりである。


「ここね…」


オフィス街の中でも一等地に大きくて立派なビルが目の前にそびえ立つ。

下から見上げても数えきれない階数と窓の数。

今日からここが私の職場。

緊張をほぐすように短く深呼吸してビルに足を踏み入れると外観も内装も煌びやかな世界が待っていた。



受付を済ませ渡されたIDカードを首から下げて案内されたエレベーターに乗り込む。

さすが一流企業、受付嬢もモデルみたいな綺麗な人を雇っているではないか。

ドキドキと緊張する中案内されたのは最上階。

長い廊下を抜けて大きな扉が目の前に立ちはだかる。

モデルの受付嬢はこちらでございますと私に一礼してその場を去ってしまった。


ついに……イケメン社長とご対面。


イケメンに興味がないわけじゃない。

ミーハーな私はむしろ好きな方だと思う。
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