秘書課恋愛白書
「………なーに百面相してんの」
「え?!あっ…社長?」
もうシャワー浴びてきたんですか…
声のする方に振り返れば、いつの日かと同じように入り口の扉にもたれかかってこちらを見つめていた。
うわぁ……
色気が…とんでもなく凄い。
濡れた髪の毛に掻き上げた前髪。
ポタポタと雫が落ちるたびに首にかかったタオルを湿らせ、羽織ったシャツもところどころ肌色が透けて見えた。
逆に魅入ってしまっていると社長がこちらに近づいてきて顔面に白いものが落ちてきた。
「ぶっ」
「ほら、出かけるから早くシャワー浴びてきて。それとも…脱がしてほしい?」
「結構です!お、お借りします!」
顔にかけられたふわふわのバスタオルを抱え込んで慌てて社長の横を通り過ぎる。
こんな顔…見せられない。
俯いてバタバタと走る私にクスクスと笑う声が聞こえた気がした。