秘書課恋愛白書

どこか気品を感じるのは英国の血が流れていているからなのか…初めて知った。

確かに女顔負けの美形であれはお母さん似なのね。

まだまだ社長について知らないことばかりだ。


冷めないうちにどうぞ、と言われていただぎますと手を合わせた。

本当に…見た目を裏切らない美味しさに感動する。


「お、美味しいです!」

「喜んでいただけて光栄です。でもいつもお一人でいらっしゃる社長が奥様以外の女性を連れて来られる日がくるなんて…私どもも嬉しい限りです」

「は、はぁ…」


耳にタコが出来るくらい聞いた気がする。

社長をよく知る人たちが口々に言うそのセリフ。

社長と行動を共にするようになってから何回聞いたことだろうか。

女性の噂もあったし節操なしだったくせにこういうところには連れて来なかったってこと?

不思議な人だ。


「奥様がお亡くなりになられてからしばらくこちらには寄り付かなかったんですが社会人になってからまたいらしてもらえるようになったんですよ」

「え…社長のお母様って、亡くなってるんですか?」


それも初耳。

まさか私と同じ境遇だったなんて。
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