秘書課恋愛白書

ああ、これを食べる姿も様になる。

しかもとっても綺麗に食べる社長の姿に思わず魅入ってしまっているとバチっと視線が合った。

あんな話を聞いた後だから気になってしまったんだ。


「なに?見られてると食べにくいんだけど」

「スミマセン…でも、本当に美味しいです」

「当然でしょ。綾女も絶対好きだと思ったよ」


私のため?

優雅に紅茶を飲みながら平然とそんなことを言うもんだから目をパチクリさせる。

そんな私たちの姿を微笑ましく見ているシェフのことなんて知らなかった。



***



「あのー…どこに向かってるんでしょうか」

「まだ秘密」


朝食を食べ終えて、社長の用意してくれた服に着替えさせられてただいま移動中。

まさかスーツだけでなく、私服まで用意されるなんて思わなかった。

しかも普段あまり着ない上品な花柄ワンピースに薄いイエローのカーディガン、白のサンダル。

私の姿を見るなり満足そうに笑うのだった。
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