秘書課恋愛白書
「ストップ。今じゃなくていい。もうちょっと落ち着いたらでいいから。逆にフェアじゃないでしょ?こんなことしてからの返事じゃ僕も納得できない」
開きかけた口を社長の大きな手が覆いかぶさって遮った。
言われてみれば、たしかに…
こんなことされた後に言ってもその場の感情に流されたと思って微妙なのかな…
OK?と聞かれて数回頷いて見せると社長の手は離れていった。
用事も済ませたし帰ろうか、と社長はぐっと伸びをすると再び私の手を取って歩き始める。
私はきっともう…
社長に落ちている。
ちゃんと、落ち着いて考えて言葉にする機会を作らなくては。
今までとは違う暖かい感覚に自分の心が満たされているような気がした。