秘書課恋愛白書
後からとんでもない間違いを犯したことに自分を呪う羽目になるともつゆ知らず。
私は思い切って扉に手をかけた。
「失礼します!!わたくしMキャリアから参りました中原と申しま………『キャ!!』」
は?
勢いよく扉を開け挨拶した途端、女性の悲鳴。
ペールブルーの高級カーペットに散らばったジャケットとスカート。
一面ガラス張りでオフィス街を一望できる眺めときたら、これが権力者の証かとも思う。
広々とした社長室の窓際の机の上で寝転がり悲鳴を上げた人物が私を見て咄嗟に起き上がる。
その胸元ははだけていて女性の胸が露わになっていた。
そして女性に覆いかぶさったモノは……人間。
逆光でシルエットしかわからないが、多分あれが社長なんだろう。
この状態でも冷静になれてる自分が逆に怖い。
少しだけ昔の記憶がフラッシュバックしそうになったのを抑えつつ出来るだけ冷静を保つことに徹した。
まさに、コトの最中。
そりゃ、私のノックなんて気がつくわけない。
むしろ無視されたのが正解かもしれない。
なんて考えていると風が真横を遮った。